「マイクロカプセル香害」古庄弘枝著
届いたので、さっそく読みました。
まず開けてびっくりしたのが、商品説明で仕様が単行本になっていたのですが、完全に新書サイズでした。ページ数はP190で、厚みは1cmほど。これで税込み1,512円は高いなぁという第一印象です。
内容は、P26~P88が編集部で集めた化学物質過敏症患者31名の方のアンケート内容です。発症のきっかけ、症状や困っていることなど。
全体の1/3がアンケートという訳です。
管理人は読むのが遅い方ですが、1時間ほどで読了できる内容でした。
化学物質過敏症患者の立場から言わせていただくと、まったく得られる物はありませんでした。ただ、化学物質過敏症の疑いがあるような方が読むと、化学物質過敏症は患者によって症状がさまざまですので、同じ症状など当てはまることがあれば目安になるかもしれません。
化学物質過敏症にならないためにどうすればいいのか、またすでに発症している場合に症状が軽くなるためにどうすればいいのかなどは、書かれていません。
どんな人に向けて書かれた本なんでしょうか...例えば柔軟剤臭や香水をプンプンさせているような人が本屋でこの本を手に取ったと仮定してみます。パラパラと立ち読みしたところで、前半のアンケートの部分でふぅ~んくらいの感想をもって脱落するでしょう。後半のイソシアネートの記事まで読み進んだとしても、はたして柔軟剤をやめようと思うだろうか。ましてや、まさか自分が化学物質過敏症になる可能性があるとは思いもしないのではないかと思いました。
内容の薄さに加えて、あとがきを読んで腹が立ちました。
すでに発症している人たちへ
「大丈夫です」と言わせていただきます。(中略)
危険なところから身を離し、いったん大きく深呼吸をしてください。呼吸を整え、周りを見回してみてください。
古庄弘枝著『マイクロカプセル香害』019 ジャパンマシニスト社 p187-188
あなたの周りには、たくさんの先輩がいます。いくらでも手を差し伸べてくれる人たちがいるのです。拙著『香害から身を守る』(島影社)も読んでみてください。そこには、たくさんの化学物質過敏症サバイバーたちも載っています。
化学物質過敏症患者の先輩がいるから大丈夫?自分の著書の宣伝か。家族でさえ病気のことをなかなか理解してもらえない人もいるというのに、誰が手を差し伸べてくれるというのでしょうね。
症状の重い患者は、外にも出れずに病気と闘っています。何を根拠に大丈夫などと言っているのかさっぱり分かりません。そっちの本を買って読めということなのでしょう。
こちらは税込み540円なので、料金設定は良心的な気がしますが、ページ数はP60ということなので、パンフレットか冊子ぽい感じがしますね。
香害が社会問題になってきていますが、この「マイクロカプセル香害」は、それに便乗したビジネスなんじゃないかと感じてしまいました。
購入を検討されている方は、一度書店で実物を手に取って見てからにした方がいいと思います。